【アーティスト紹介】Uplifting Trance界のエース!James Dymond
"もし'Uplifting'という言葉を辞書で調べたら、絶対にJames Dymondがそこに出てくるね" - Armin van Buuren
こんにちは、元祖サイゼリヤです。当ブログではアップリフティングトランスの普及のため、アリフィラの記事に続きアップリフティングトランスのアーティスト紹介とかもやってみようと思います。今回はイギリスから、アップリフティング界のエースJames Dymondを紹介します。
簡単な人物紹介
ロンドン出身のDymondは、幼少期からクラシックピアノを習い、高校では(エレクトロニック音楽以外の)プロダクションを学んだ音楽エリートでした。彼は高校時代に友人の勧めからトランスと出会い、大学に入るころには自分でトラックを制作するようになり2011年4月にデビュー、そのたった4か月後にトランス界の首領Armin van BuurenのミックスCDで楽曲が収録されるまでになりました。
ちなみにその時収録されたトラックのタイトルは「Gundam」といい、それ以外でもプロデューサーとしての心構えをスーパーサイヤ人の修行にたとえて語ったりするなど、日本のアニメに親しんできたっぽいです。
最近は主にFuture Sound Of Egypt Recordingsを中心に楽曲を発表しつつ、他レーベルでもリミックスをしたりしています。
James Dymondのリリースから、おすすめの曲
(10/09追記: ここで紹介している曲やしていない曲でYouTubeプレイリストを作成してみました。ご活用ください。)
Dymondの曲は時期によって割とはっきり作風が分かれているので、時期ごとにおすすめを紹介してみようと思います。いずれの時期でも、BPM138のアップリフティングトランスを基調としています。
~オーケストラルトランス期~
比較的キャリア初期の方。
James Dymond - Paladin
クラシック出身のDymondのルーツがはっきり出た?短調の強そうなメロディーの曲。生音とエレクトロニックサウンドを組み合わせ、編曲の知識も要求されるオーケストラルトランスはかなり難易度が高いですが、Dymondはデビュー2年目で使いこなしています。
Armin van Buuren - Communication (James Dymond Remix)
Armin van Buurenの代表曲「Communication」のリミックス。イントロから流れるメロディアスな空気感、ソロボーカル音源を用いた壮大なブレイクからの静と動が切り替わる衝撃的なビルドアップ…Dymondの圧倒的構成力が光る最高傑作。
Tiesto - Adagio For Strings (James Dymond Rework)
上のは公式のリミックスでしたが、こちらはDymondが自分のセット用とかに制作したブートレグ。Dymondはこのようなクラシックトランスのブートレグも精力的に制作しています。原曲を踏襲しつつ、独特なビートの入ったブレイクや上のCommunicationよりも強化された矩形波ビリビリ系リードが特徴的な名Rework。かつてはフリーダウンロードだったのですが現在は公開終了されてるっぽいです。勿体ない!
~直球アップリフティング期~
だいたい2014~16あたり。
James Dymond - Siren's Song
Armada傘下のWAO138?!から発表された、Dymondの代表曲であり最高傑作。クラシカルな雰囲気は減退しましたが、キャッチーさをモリモリ増したメロディーが受け、大ヒットしました。
また、この曲を開設する動画が本人によってアップロードされています。DTMer諸兄はぜひチェックしましょう。
James Dymond - Echoes
今ではFSOEを代表するアーティストとなったDymondのFSOEデビュー曲。やはり驚異的にキャッチーなメロディーの説得力は実際に聴いてもらったほうが早い。随所で使用されシンセサイザーの効果音が特徴的。
同年にはFSOEからDeep Down Belowもリリースしておりコチラもおすすめです。
James Dymond ft. Neve White - With & Without You
同じくFSOEからリリースされたボーカルトランス。Neve Whiteによるボーカルとサウンドの透明感が全身に沁みわたる、安らぎながらブチ上がれる最高傑作です。
これ以前にもRAMとともにKim Kionaをフィーチャーした「End Of Times」をリリースしていますが、Dymondとボーカルのみの名義ではWith & Without Youが初です。
~テックトランスの影響~
2016年あたりから、Dymondはテックトランスの影響を受けたサウンドの曲を発表するようになります。おそらくこのあたりが上で触れた「スーパーサイヤ人」のFacebookポストにある「作風のマンネリ化」を感じ始めていた時期だと思われます。
James Dymond - Renegade
FSOEのコンピレーションアルバムに収録。民族風のパーカッションループを前面に出したイントロ、サグいベースライン、レイブスタブや派手に歪んだアシッドなどダーティーさがかなり強いです。しかし根幹はアップリフトであり、ブレイクやクライマックスでは美しいメロディーで魅せてくれます。
James Dymond - Defector
ブレイクの笛の音やソロボーカル、メインメロディーが爽やか。Renegadeよりはダーティーな印象はないですが、ベースラインなどにテックトランスの影響が見られます。
そしてこの曲で用いられた「イントロやアウトロでベースをメインにしたドロップを置く」という展開は、この後のサイリフティング期において大活躍することとなります。
~サイリフティング期~
2016~。前述のプロダクションのマンネリ化やVini Viciらの大ヒットによるサイトランスの流行を受け、Dymondはサイトランスとアップリフティングトランスを融合した作品を作るようになります。この時期はさらに作風を分けることができます。
1. アップリフティング寄りのサウンドでドロップするもの
James Dymond - Push
サイリフティング期の記念すべき一曲目であり、私がDymond、FSOE、そしてUplifting Tranceの大ファンとなるきっかけの曲です。Defectorの流れを受け継ぎ、アップリフティングの王道にありながらサイケデリックなドロップで惹き込み、狂ったアシッドのグルーヴから美しいブレイクへの自然な移行、そして至高のメインリフが輝くビルドアップ~クライマックスから再びのドロップ、それら全てが継ぎ接ぎ感ゼロでひとつの曲に仕上げられた超越的構成力、すべてが神の御業で成し遂げられたとしか思えないDymondの最高傑作。
また、ブレイクからリードが入ってくるあたりまでの展開はトランスの名曲Veracocha - Carte Blancheのオマージュであり、Dymondのトランス愛が伺えます。
James Dymond & Susana - Love You Are Made Of
近年のDymondでは珍しくAmsterdam Tranceから、Armin van BuurenのShiversなどで知られる人気ボーカリストSusanaとのコラボ。Susanaの力強いボーカルパートをポップスばりに引き立てながら、クライマックスではメロディアスなリフですべてを持っていく最高傑作です。展開上の盛り上がりどころが多く、ボーカルも入っているので「トランス長ぇよ!w」っていう初心者にもおすすめです。
2. サウンドもサイケデリック寄りなもの
James Dymond - Black Mirror
本記事執筆時点での最新シングル。細かく刻まれたようなアシッドが強烈。
Mark Sherry & Sharone - I Will Find You (James Dymond Remix)
続いて最新リミックス。オフビート(参考)的なベースラインとテッキーなスタブが絡み合います。
James Dymond & Chris Schweizer - Spectrum
テックリフティングの雄、Chris Schweizerとの合作であり最高傑作。比較的大人しめでメロディアスですがアウトロで思いっきりドロップ。
なおこのコンビは既にSpectrumの続編である新曲のリリースを控えており、こちらはSchweizerのテック面が大ばくはつする凶悪な最高傑作になっています。
3. サウンドはサイケデリック寄りだが展開はアップリフティング的なもの
James Dymond - Maze Runners
2017年発表。上の曲と比べると非常に質素なつくりとなっていますが、ストレートなメロディー、ブレイクで挿入される語りが非常にエモーショナル。
おしまい
いかがだったでしょうか。至る所で「最高傑作」と書いていたので「どれがだよ!」と思われた方も多いと思うのですが、ここで最高傑作として挙げたやつは全部白眉の出来、最高傑作だと思っています。*1
ここで紹介していない曲の他にも素晴らしい最高傑作(特にRemix。Guiding LightとかDestinationとかSatelliteとか最高なので絶対聴いてほしい)いっぱいあるので、興味のある方はぜひ調べて聴いてみてください。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
*1:強いて一つ選ぶなら個人的思い入れの強いPushでしょうか