来日決定!Aly & Filaって!?
(2018年6月7日追記:情報の誤りを確認しました。誤りが確認されたのは以下の三点です。
- Alyのは耳の病気ではなく、ライブ中の大音量による鼓膜の損傷を受けている*1
- FSOEはArmada系列のレーベルとして設立されたのではなく、最初はOffshore Musicというレーベルの傘下に設立され、その一年後にArmada系列に移籍した*2
- 「よく練られたセット」という表現があるが、インタビューにおいて「セットを事前に作ることはなくすべて即興である」という旨の発言があり不正確*3
以上の点を訂正し、また不正確な情報を書き記したことをお詫びさせていただきます。)
こんにちは、元祖サイゼリヤです。
今月22日に東京・渋谷のWOMBで、23日に大阪・アメリカ村のJOULEでAly & Filaの来日公演があります。しかし、彼らのやっているトランス音楽は日本ではあまりメジャーではないので誰このおっさんと思われてる方も多いと思います。そこで今回はAly & Filaについて紹介記事を書いてみようと思います。
Aly & Filaって何者よ
Aly & Fila(アリー アンド フィラ)は、エジプト・カイロ出身のDJ/プロデューサーデュオで、Aly El Sayed Amr Fathalah (Aly、↑写真左)とFadi Wassef Naguib (Fila、↑写真右)からなります。
同い年で幼稚園時代から交流があったAlyとFilaは、当時のトランスミュージシャンの影響を受け、18歳の時に音楽制作とDJを始めました。
2003年にドイツのレーベルからシングル「Eye of Horus」をリリースしてデビュー。この曲はラジオでヘビーローテーションされ、Paul van DykやArmin van Buuren、さらにはTiestoといった時の大物DJから絶賛されました。
以降DJ/プロデューサーとして活躍を続け、現在はトランス界のトップアーティストの一角としてULTRAやTomorrowland、EDCといった大規模なフェスでプレイしたりしています。
しかし近年はAlyは耳の病気を患っており、大音量を浴びることに関してドクターストップがかかっているため、ライブなどは多くの場合Fila単独で行われます。しかし、楽曲製作には引き続き参加しており、また後述のFSOEの放送回数の節目に行われるイベントなどではその姿を見せることもあります。
ジャンルはトランス、その中でも速いテンポと壮大な展開が特徴の「アップリフティングトランス」の世界では右に出るものはほぼいないほどの実力と知名度を持ちます。しかしアップリフティングトランスに限らず、例えば2ndアルバム収録曲のいくつかはプログレッシブトランス*4のようなものがあったり、また最新の5thアルバムでは穏やかなハウスも作っていたりします。
Future Sound Of Egypt
彼らは週一回放送されるラジオ番組Future Sound Of Egypt(ちぢめてFSOE)のホストを務めています。
FSOEは元々一時間番組だったのですが最近二時間に拡大し、前半はテンポの遅いプログレッシブトランス/ハウス、後半はテンポの速いアップリフティングトランスやテックトランスから最新のリリースを紹介するという形式になっています。
また彼らは同じくFuture Sound Of Egyptという名のレーベルを運営しています。トランス界でも最も有力なレーベルのうち一つであり、リリースされる楽曲は軒並みチャート上位に入り込みます。
このレーベルはいくつかの下部レーベルを持ち、現在は
- アップリフティングトランスを中心に扱いつつ、トレンドに応じて他ジャンルもリリースすることがあるメインレーベル Future Sound Of Egypt
- プログレッシブハウス*5を扱うFSOE UV
- プログレッシブトランスを扱うFSOE Parallels
- テックトランス*6を扱うFSOE Clandestine
- メインレーベルより「ピュア」なアップリフティングトランスを扱うFSOE Fables
となっています。
FSOEは2009年にArmin van Buuren率いるArmadaの系列レーベルとして発足しましたが、現在は独立しています。
Aly & Filaのリリースから、おすすめの曲
You & I (Uplifting Remix) (with Emma Hewitt)
2018年6月現在最新のシングル。4thアルバムに収録された歌をクラブ仕様アップリフティングトランスに大改造。ボーカルのEmma HewittはDash Berlinとかとコラボしている方。
Aly & Filaの一番の特徴はこの滑らかなプラック*7サウンドだと思います。あとこの曲は同じメロディーでも前半と後半でコード進行が違うのが好きです。
We Control The Sunlight (feat. Jwaydan)
2011年リリース。だいぶ古い方の曲ですが今でもライブでかかることのある定番曲のひとつです。ボーカルのJwaydanの歌う格好いいメロディーが素敵。
Lost Language
こちらもだいぶ昔の曲、FSOE発足前の2008年リリースですが今でもかかることは多いです。
ブレイクで鳴るギターっぽい音がユニーク。そしてプラックの和音とメロディーが心に来る。
Beyond The Lights
昨年リリースされた4thアルバムの表題曲で、メロディーがもの悲しい一曲。イントロのアシッドがセットの中で聞こえてくると高揚感が煽られます。
Unbreakable (meets Roger Shah & Susana)
Arminのラジオ番組「A State Of Trance」で2016年のTune Of The Yearに選ばれた人気曲。アップテンポな曲調とパワフルなサウンド、Susanaの力強いボーカルがよくマッチしています。
Concorde (with Ferry Tayle)
7月末の来日が決定しているフランスのDJ/プロデューサーFerry Tayleは、近年のAly & Fila作品において最も重要なコラボレーターの一人です。彼とのコラボ作品はどれもメロディーが印象的なので、過去にコラボした「Nubia」「Napoleon」もあわせてチェックしてみてください。
For All Time (with Jaren)
3rdアルバム収録の、ストレートかつ超良質なボーカルトランス。ここまでで彼らの作品はサウンドがほぼ全部一緒ということに気づいた方もおられると思いますが、それでもひとつひとつ曲の個性があるというのは構成の妙ですね。
The Chronicles (with Philippe El Sisi & Omar Sherif feat Karim Youssef)
FSOEラジオ500回記念のアンセムであり、エジプトの仲間たちとコラボした曲。ブレイクからアラビアンを感じます。
Mysteries Unfold (feat. Sue McLaren)
個人的に一番オススメの曲。2ndアルバム収録曲のリミックスで、アップリフティングトランスにおいて高揚感と安らぎの両立という点で最高の曲のひとつだと思っています。空間系エフェクトのかかり方とSue McLarenの透明感ある歌声が絶妙。
これが原曲。こちらもまた美しいプログレッシブトランスです。
ID (仮称・A World Beyond)
こちらはまだ正式には発表されていませんが、最近ライブで披露されているため来日公演で聴けるチャンスがあるかもしれません。 Beyond The Lightsの系譜を引く、ちょっと演歌っぽさも感じるようなメロディーが耳に残るこの曲はFSOEラジオ550回記念のアンセムと噂されています。
(2018年10月7日追記:アンセム・A World Beyondは別の曲だったことが発覚しました。このIDは依然謎の曲のままであり、フェス等でプレイされることも減ってきています)
ライブが上手い
Aly & Filaのライブはよく練られたセット・選曲、絶妙な繋ぎによって、トランスファンの間で高く評価されています。以下ライブ動画をいくつか貼っておくので作業用とか予習にお役立てください。
筆者をアップリフティングトランスの道に引き込んだ、2016年のライブ映像。美しい楽曲の雨あられ。
こちらは直近の3月にタイで行われたフェスの映像。最近はこのようにテックトランスもセットに多く盛り込んでいることが多いです。
おしまい
いかがだったでしょうか。こういうアーティスト紹介記事を書くのは初めてですが、Aly & Fila、ひいてはトランスの魅力が伝わっていれば幸いです。
*1:出典:https://elacin.com/blog/elacin-music/aly-and-fila/
*2:出典:https://www.redbull.com/mea-en/questions-and-answers-with-aly-and-fila
*3:出典:同上
*4:テンポがアップリフティングトランスよりやや遅くメロディアスなもの。バキバキした攻撃的なベース音を含むものもある
*5:トランスに近くて穏やかなやつです。EDMの同名ジャンルとは無関係
*6:テンポはアップリフティングトランスとだいたい同じくらいだが、テクノやサイケの影響を受けたダーティーな音のトランス
*7:トランスとかクラブミュージック全般で使うテンッ…テンッ…って感じの綺麗な音