びっくりドンキー

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Kyothough - Cumulonimbus (Kyoko) セルフライナーノーツ

どうも元祖サイゼリヤもといKyothoughです。

このたび私のシングル「Cumulonimbus (Kyoko)」がリリースされました!

今回はこの新曲「Cumulonimbus (Kyoko)」の制作過程やこだわりポイントについて解説してみたいと思います!

自分の曲解説ってのはずっとやりたいと思ってて実際アルバムの時にはやってたんですが、なんか商業シングル出るときはタイミングを逸し続けてて今回初めて書くことになります。実行に移したきっかけとしてはDominant Spaceさんがnoteでされていていいな~と思ったのと、あと今回のシングルは自分でも珍しいほど大変気に入ってる曲なんでこんかいやってみようと思い超久しぶりに筆を執りました。

製作過程

インスピレーションとか

この曲を作り始めたのは2020年の末で、この頃の私はGreg Downey - Rendezvousにハマっていました。

何遍聴いても何が起こってんだかサッパリわからなくて最高ですね!

しかしサウンド面でおかしなことやっとる一方でメロディーやコードは(私の耳コピが正しければ)かなりシンプルです。2:30~のプラックのリフとかは非常にシンプルな2種類の3度和音*1でできています。

これで3度和音のパワーに気づいたのでそれを軸に曲のイントロを作り始めたのですが、そのままやってるとあまりにもGreg Downey - Rendezvousすぎたのでベースの音程をI*2から変えてみることにしました。

トランスのイントロといえばベースはIかVI*3が調性的にも安定していて一般的ですが、私はAbove & Beyondの一部の曲、例えばYou Got To Go (feat. Zoë Johnston)などがII*4から始まることを知っていました。

IIはIやVIと比べると安定感のない音で、それがZoë Johnstonの声質や歌うメロディーと噛み合ってAbove & Beyond feat. Zoë Johnston - You Got To Goの独特の泣きそうな浮遊感を生み出しているのだなあ~と思います。

ということでこの曲に倣ってベースの位置を変えてみます。私のやりたいこと的にIIだとちょっと暗すぎるので、ベースをコードの根音と見た時にTSDでIIと同じSにあたりつつマイナーコードでなくメジャーコードになる*5IV*6にしてみましょう。

するとアラ不思議!ストレートな感じだったプラックは、なんか少し切なげな響きを持つようにになりました!!!明るいような物悲しいような、なんか甘酸っぱいノスタルジーを喚起するような、例えば背景美術がいい感じのアニメが似合うようなものに俺の中の定義での「エモさ」があって、この時できたループにはまさしくソレがありました。そういう感じの曲がずっと作りたくて、RRRから出てるOn Your Way Homeなんかでもこういう「明るい切なさ」を狙ってて実際出せたと思うんですが、On Your Way Home以上にエモーショナルで魅力的な響きをこのCumulonimbus (Kyoko)の原型となるループは持っていました。

これを聴いた私の頭からは当初のGreg Downey - Rendezvousというコンセプトは吹っ飛んで*7、この最高のループに合う曲を作ろうということを一番に考えるようになりました。

ちなみにこのIVから始まるイントロ自体は以前Someone's Satellite様に提供したWonderという曲でもやっているのですが、これほどマジカルな効果はなかった気がします。たぶんメロディーとの音程が大事で、ウワモノがいい感じの音高を踏まなかったからなのでしょう。だがその他一切のことは分かりません(もっと理論勉強しろ)

まあWonderでIVから始まったのはアバビへのオマージュという以上に、トランスのベースにおいて響きが最悪とされるド*8を長いこと鳴らし続けるのを避けたかったというのがあるので、まあここで魔法が発動しなかったのは別にヨシとしましょう。

ということでこのループの持つエモーションに合致しそうなメロディーを、あんまり調性的な相性とかは考えずにポンポン乗っけていきました。サビのメインのリフはかなり苦しんでできてないまま数カ月放置したんですが、Steve Allen & Cathy Burton - My Awakeningを聴いてここはあんまり細かいメロディーとか考えずに和音で押し切ってしまおうと切り替えて現在の形になりました。当初はこれで良いのかな…?と少し迷いもありましたが、今聴くと自分でもブチ上がれるのでたぶんダイセイコーです。

曲名も曲調から連想して、ジャケットの通り*9夏の空に浮かぶ高い雲!積乱雲!と名付けました。最終的に春リリースになってしまったんですが今聴いてもめっちゃいい曲なんで無問題です

ちなみに(Kyoko)は「ゆるゆり」の歳納京子さんのことで、同作の水遊び回なんかをイメージしてこっちがワーキングタイトルだったんですがサビが最終的にけっこう泣きっぽくなったので全面的に歳納京子さんではないかな…と思いサブタイっぽい感じになりました。曲にサブタイっぽい感じのをつけるの憧れてたんですよね~~~~~

 

トランジション?テンション?について

あと特に気合い入れたのがトランジションですね!曲の展開です。曲が展開する時にフィルターをかけたりとかキックを逆再生したものと繋げて勢いをつけたりとか、そういう小技を大袈裟に効かせています。もともとそういう…なんというかしっかり説明するのが難しいんですが…トランジションがダイナミックで音がカートゥーンみたいに動く?曲は大好物だったのですが、公式の曲別プレビューで言う34秒あたりからのライズアップが自分でもビックリするくらい活動的に動いてくれたので嬉しくていつもより余計に回しております。

こういう感じはAdam Ellisの曲に結構影響を受けています。

あと記憶が定かではないんですが製作期間中に懐かしめのEDMを聞いていたかもしれませんのでそこから影響を受けてる可能性もあります

あとキック逆再生はAly & Filaですね!アルバムQuiet Storm~Beyond The Lights期のアリフィラはキック、ベース&ハット類が作り出すグルーヴ感についても大いに私に影響を与えており、私の最も大きなルーツと言えるアーティストの一つです。

 

このようにアップリフティングトランスにおける爽やかさなメジャー感や日本的ポップさを迸らせるエモメロディー&ハーモニー、ダイナミックでイキイキとしたトランジションなど私の好きな要素をたくさん詰め込みました。これから私がプロダクションスキル向上したりしてもっと技術的によくできた曲は作れてもこれより好きな曲は作れないんじゃねえかな~という気がします。

 

リミキサーの皆様マジでありがとうございます

そしてリミックスも最高ですね!

Noshiさんは以前から同人などで聴かせていただいていて本当にナイスアップリフトを作られる方と存じておりました。Cumulonimbus (Kyoko)のリミックスも、私の大好きな要素ではあるんですが今回原曲を作るにあたっては切り捨ててしまったアシッドやヘヴィーさが取り入れられていてかなり嬉しいです!お得!

ohonさんのリミックスもさわやかジャパニーズトランス性に満ち溢れていて、まさにCumulonimbus (Kyoko)の本質に原曲とは違う方向から光を当てた最高の解釈だと思います。

というわけで最高の原曲と最高のリミックスと最高のリミックスが収められた最高のシングル「Kyothough - Cumulonimbus (Kyoko)」は現在BeatportSpotifyでアヴェイラブルナウ!リッスンナウ!

他のストアは今月27日はつばいよていです!是非是非!

 

 

*1:3度…ドとミのようにピアノでいうと間に白鍵をひとつ挟む音程。さらに白鍵の間の黒鍵の有無によって長3度と短3度に分かれます。パーフェクトな説明ではありませんがこの話をする上ではこの理解で済むので勘弁してください

*2:ドレミファソラシで言うとド。メジャースケールの一番基本的な音で、トランスの明るい曲はだいたいイントロのベースがこの音を鳴らしています。Greg Downey - Rendezvousもです。

*3:ドレミ~で言うラ。パラレルなマイナースケールのIとも言う

*4:ドレミ~のレ

*5:訳:ベースをコードと読み替えた時にIIと同じくらいの安定感のなさで、かつIIよりも明るい感じの

*6:ファ

*7:コンセプトは結構吹っ飛んでますがボーカル素材の多用やプラック感を強めに出したリードなどという部分で影響が感じられるかもしれません。

*8:白鍵に置き換えるまでもないやつです

*9:ジャケット最高ですよね。RRRは本当にいいアートワークを付けてくれるレーベルなので皆さんも最高のジャケットが欲しくなったら是非RRRにデモを送ってみてください。